栄養士として不安定な契約社員から社員への転職




もっと専門の栄養知識を

栄養短大を卒業して10年以上地元の病院で栄養士をしていましたが、栄養学は日々新しいものになり、しかも10年ひと昔と言われるように10年経つと持っている知識も古くなっていると思い、一念発起して東京の栄養専門学校に入学し直しました。

そこは社会人向けの専門科がある学校で1年間という期間の学校でした。まずは触れたことのなかったパソコンでの献立作成や栄養計算など目からウロコの世界でした。そして、商品開発など魅力的な分野も学び、それはとても興味の引く内容でした。

1年間はあっという間で、卒業とともに地元に戻って就職しようと仕事を探すことにしました。心の中ではまた病院の栄養士よりは学校で学んだ商品開発の仕事に就きたいという思いが強く、地元にはそのような職種がなかったので、東京にそのまま残り、商品開発や分析などの仕事を専門に紹介してくれる派遣会社に登録し、今までにない働き方を選びました。

契約社員の身軽さ

まだ若いころは責任のある仕事には抵抗があったのと、また自分の性格上決まりきったデスクワークは向いてないとの思いから病院栄養士ではなく。華やかな商品開発という職にあこがれを持ち、派遣会社から仕事を紹介してもらいました。派遣会社に登録しに行き、仕事があれば紹介してもらうのです。時給制で、賞与はありません。働いた日数分の給与をもらうので、GWやお盆休みなど祝日の多い月の収入はグッと少なくなりました。

そして契約期間が決められて、その期間の近くになると継続するかどうかの本人の意思確認と派遣先の会社の合意の元で仕事の継続が決まります。当時は社員になっても会社がいつ潰れるかわからないし、ストレス社会に埋もれるよりは、派遣である事の方が精神的にも楽であるという考えでいたので、不安ではありましたが、商品開発の仕事がすぐ見つかったので就職する事にしました。

開発する上での基本の事を社員の方に教えてもらい、社員の下であとは自由に自分なりの仕事の計画を立てて実施する事ができたので、遣り甲斐がありました。

契約社員と社員の線引きの難しさ痛感

最初の仕事は製菓会社のキャンディーの試作開発の仕事でした。これはとても面白い仕事でした。試作開発というのは商品開発の中のコアな部分でしたので、遣り甲斐もありました。商品担当者と打ち合わせしながらキャンディーの味を決めていく仕事です。

ただ、商品は春夏秋冬でコンビニやスーパーの棚の入れ替えがあったり、季節柄で売れる商品が違うので、試作するキャンディーは膨大な量でした。商品化が決まるとキャンディー工場への出張もあり、なんら社員と変わらない仕事内容でした。自分の試作したのもが商品化されてコンビニやスーパーの棚に置かれて売られているのを見るのはとても感動でした。

商品開発の一連の流れを把握するのにあっという間に月日は過ぎました。職場環境も問題なく契約期間もどんどん伸びていきました。ただ仕事に慣れていくと今まで社員の下で仕事をしていたのが、独り立ちということになり、開発担当者からも求められる事がどんどん多くなっていきました。そうなると、この扱いで、この仕事内容では社員と同じではないかと感じるようになり、一人でかかえる仕事も増えてストレスを感じるようになりました。
社員と契約社員の仕事の線引きが難しいというのをその時に感じました。体調も悪くなり、継続の契約をお断りして仕事を止める事にしました。

派遣社員を転々と

しばらく休養して体調を整えてまた再就職を目指しました。
その際もまだやはり商品開発の仕事への思いが強かったので、また商品開発の仕事を紹介してもらい次の仕事に就きました。次の仕事では地方にその会社の工場があり、そこにも商品開発スタッフがいたのですが、東京営業所の商品開発スタッフという事で私が採用されました。

その職場も環境はよく、いろいろと試作開発などに携わっていきました。商品化される商品もあり、契約期間もどんどん伸びていき仕事も楽しくなっていきました。そんな矢先、社長交代と会社の方針により、商品開発を工場で一本化し、すべてそこで行うということになり、私の仕事はなくなり、契約打ち切りとなりました。

契約社員よりやはり専門職として社員で働くべき

その頃になると年齢的にもこれ以上契約社員を続けても同じようなことの繰り返しになるなら、安定した栄養士の仕事につく方が得策ではないかと思うようになりました。派遣登録はそのままにしましたが、栄養士の仕事を探すことにしました。

興味をもったのは、社員食堂の栄養士です。カフェテリア形式の食堂ですと、いろいろなメニューを作成するので商品開発にも似ている部分があるのかなと思いました。給食会社に就職し、社員食堂の栄養士として働く事になりました。就職してからは、イベント食やヘルシー食などを手掛ける事になり、今までの経験も活かしつつ仕事をすることができるようになりました。社員としてボーナスや有休ももらえるようになり、そこで安定して仕事を継続する事が出来るようになりました。

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