元の仕事は看護師でした。
高校を卒業して看護学校に進学しました。動機は特にありません。就職氷河期と言われており兎に角手に職がないと就職出来ないと囁かれていました。私の母親も看護師をしていたので、身近な存在が看護師で職にあぶれる事がないので何も考えずに看護師になりました。就職してからはそれなりに大変な事もありましたが、特に嫌になる事もなく仕事を続けていました。
転職を考える様になったきっかけ
ある日患者さんと話をする事がありました。看護師さんと言う天職を見付ける事ができて良かったね、と言われました。何気ない言葉ですが、私にとって看護師は本当に天職なんだろうかと考える様になりました。これから先何十年も看護師を私はするのだろうかと考えました。
他のスタッフや先輩に聞くと看護は楽しい、やりがいを感じると言っていました。私も患者さんに感謝されると嬉しいです。しかし、明らかに他のスタッフとの温度差を感じる様になったのです。仕事が終っても患者さんの事を必死に考えている他のスタッフと違い、私はそそくさと帰宅して他の好きな事をしている方が楽しかったのです。そのひとつが物件を見る事でした。
物件が好きなのかな
昔から物件は好きで色んな所に住むのが夢でした。引っ越しも定期的にしています。2.3年経つと、他の家に住んでみたいという欲が沸いてくるのです。その様な気持ちになれば止まりません。
休みの日には不動産屋に出向き、物件の間取りを必死に見ます。数回通う事もあれば即決で決めて引っ越す事もある位引っ越し魔でした。
いつも思っているのは毎日色んな物件を見られたらどんなに楽しいだろうなと感じていました。又、チラシの間取りを見ては何処に何を置こうかと考え、妄想にふけるのは一番の楽しみでした。天職とは何かを考える様になってから、もしかしたらそれは不動産屋さんにあるのかもしれないと思う様になりました。
看護師6年目で転職を決意
そんな思いをふつふつと感じる様になってからは不動産業が目に付く様になりました。そこで不動産業の仕事の内容を検索したり本で読んだり、求人を見たりするようになりました。
ずっと遠目で見ていましたが、こんなにも気になるなら一度不動産屋さんになってみようと思いました。看護師辞表を提示しました。直ぐには受理されず、辞めるまでに1年かかりました。その間も看護師としての仕事をこなしながら、不動産業の情報を収集しました。
不動産業では宅建士の資格を保有していると有利だと分かれば、宅建士の資格の勉強を始めました。今まで医療業に従事していた私には宅建士の試験ややや難しかったですが、ユーキャンを用いて見事受かる事が出来ました。
現職は不動産
不動産業に就職活動、運良く不動産屋の社長と知り合う
仕事は取りあえず辞めてみたものの、就職先をどの様に探したらいいか分かりませんでした。何件か不動産屋さんの面接を検討している時に不動産屋さんの社長と知り合う様になりました。
社長と言っても社長一人の法人化にした個人の会社でした。私は宅建士を持っている事を知ると是非働いてくれと言われたのです。どうやら社長は宅建士の資格はなく主に管理の仕事をメインとした会社だったようです。私が就職すれば、売買、賃貸部門を立ち上げるとの事でした。私も知り合いの人だと安心だと思い、二つ返事で快諾しました。
物件を見まくる毎日
就職をした物の不動産業は初めての分野です。しかし、今まで医療業で患者さんと沢山話をしてきた事もあり、お客さんとのコミュニケーションは気楽にこなす事が出来ました。私のキャラクターも受けた事もあり、トントン拍子に契約を結ぶ事ができました。
何よりも私の目線がお客さんと同じ所が良かった様です。一緒にお客さんと物件を見に行くと大体一回でどんな物件だったか直ぐに覚える事が出来ました。看護で必要な採血データの数値を覚えるのは不得意でしたが、物件の間取りや立地、回りの環境等は直ぐに覚える事が出来ました。
それも今まで色んな所に住んだ事が幸いしました。お客さんは事務所のある地域が主な居住範囲になります。少し離れたとしても知れています。その範囲内の土地である程度住んでいました。ですので、私が住んでいた頃の生活の話をする事で生活環境を知る事が出来、好きだった物件に関しては一回見れば覚えているので、他の人に案内する時も質問に対して直ぐに返答する事が出来ました。そのお陰でお客さんには信頼を得る事が出来ました。又、取引先の人の顔や雑談の内容を覚えるのは看護師の時に習得し、取引先との関係性も構築する事が出来ました。
私の天職
今お客さんに天職ですねと言われれば、大きな声でそうです。と返事する事ができます。給料はかなり減り、休みも少なくなりましたが、大好きな事を仕事に出来ているので毎日の出勤が楽しみで仕方ありません。仕事の休みの日もずっと物件の事を考えたり、次の私の引っ越しの事を考えたりしています。もう仕事とプライベートの線引きがあいまいになっている所もあります。それ位のめり込んでいます。
転職で感じた事
今までしてきた事に無駄な事なんて一つも無かったと思っています。看護師にならずにそのまま不動産屋さんになれば良かったとも思った事はありません。看護師として働いていたからこそ、お金に余裕があって色んな所に住む事が出来ました。又、患者さんとのコミュニケーションで微妙なニュアンスも感じ取る事が出来る様になりました。人の話や顔を覚える事が得意になったのも看護師をやっていたからだと思います。看護師になって、不動産業という天職を見付ける事が出来て幸せです。