会社を辞めた後の転職活動は難易度が高い理由と私の体験

私は個人的な事情で、新卒で入社した会社を辞めました。業界的には中堅のポジションの企業だったので、給料や福利厚生としては水準以上でした。しかし、世話になっていた仕事ができる先輩が転職していったこともあり、まだ取り返しがつく年齢で自分も転職しようと考えたのです。

他人からすれば、実にもったいないと思われる話でしょう。けれども、大企業の完全子会社として自由がない上にプロパー社員は課長止まり、おまけに上の役職は親会社からの天下りが占めているのが実態でした。自分の10年後が安月給でたいして仕事もしていない天下りの世話かと考えたら、せめてもっと人間らしい仕事ができる職場に移りたいと熱望せずにはいられませんでした。

当時の私は上司と対立していたので、残念ながら次の職場を決める前に辞めることを余儀なくされました。今でも覚えているほどの痛恨の出来事で、退職によって世間的には無職と呼ばれる立場になったのです。退職に伴う手続きではさすがに嫌がらせはされず、スムーズに失業手当の給付を申請できました。一時的に個人になったので、それまで会社が代行していた行政への手続きと支払いが一気に押し寄せてきて、かなり面倒でした。




退職後の転職活動は再就職活動として扱われる

いつまでも失業手当が入ってくるわけではないため、しばらく休んだ後に転職活動を始めました。しかし、退職後の転職活動は、所属している組織がないことから再就職活動として扱われるのが普通です。日本における転職活動では職歴の有無が問われますが、それと同じぐらい現在の所属先も重視されます

身分の保証がない

職歴という意味では新卒から正社員の履歴があったので大丈夫でしたが、その時点でどこも私の身分を保証してくれなかったのがネックとなりました。落ち着いて考えてみたら、かなり絶望的な再就職活動だと改めて思い知らされ、いったん自分の頭をリセットする必要性に迫られたのです。

全く別の仕事をやってみたかった

転職先を決めていない状態で辞めさせられたという点では、まさに性格が悪い上司の思惑通りになったと言わざるを得ません。とはいえ、こちらも子どもではないので、自分の会社の将来性や出世についてよく考えた上での結論でした。事務職に分類される職種だが現場で働くハードな仕事だったから、全く別の仕事をやってみたいと思っていたのも事実です。

若いうちは肉体労働でも良いものの、中高年になったら体力的に厳しくなります。会社の中で外れの部署に回された時点で、そもそも相性が悪かった可能性が高いです。

前職調査という本人には知らされない裏事情

転職活動と再就職活動が分けて考えられているのは、後者では前職調査が行われることが大きな理由です。厳密にはグレーゾーンなのですが、正社員の求人に応募したら必ず前職の会社へ問い合わせが行われると考えておきましょう。具体的には前職の会社の人事部へこっそり電話などで問い合わせることで、辞めた理由や問題行動の有無を聞きます。

この前職調査は会社の人事部が行うのが一般的ですが、大企業では社内にある専門の部署、中小企業でも興信所といったプロに身辺調査を依頼する場合があります。ともあれ、前職調査という裏事情によって、私の再就職活動ではちゃんとした計画を立てて動くことが必須となりました。

社会保険と年金の記録で前職が分かる?

日本で正社員として働くと、社会保険と年金の記録によって前職で勤めていた会社が分かります。よく履歴書で嘘を書いてもすぐにバレるというのは、こういった公的な書類でチェックできるからです。日雇い派遣やアルバイトでは前職調査まで実施されることは稀ですが、逆に言えば素性を問わずにできる仕事しか与えられないことでもあります。

定年になるまで安定した収入を得るためには、前職で傷ついた職歴を吹き飛ばすだけのインパクトが必要でした。つまり、大幅な発想の転換と、新天地へと向かう勇気が求められたのです。

自分のスキルを活かしたフリーランスとして活動

会社の管理職と揉めた私が、すぐに似たような業種の会社に再就職活動をしても上手くいく可能性が低いことへの対策が必要となりました。そのため、どうせ今の自分が雇われるところがブラック企業しかないのならば、転職活動よりも足場を固めた方が良いと考えました。

ちょうど文章を書くのが得意だったので、クラウドソーシングから入ってライターとしてのスキルと実績を積み重ねて、プロとしての下準備を始めたのです。不足している収入については日雇い派遣やアルバイトで補填して、数年後の再就職に向けて着々と準備を進めました。

会社を辞めた状態をどう挽回するか

私の転職活動では、会社を辞めた状態というハンディをいかに挽回するのかがキーでした。周囲に「私は問題を起こした人間です。」と宣伝しているようなポジションになってしまったため、自分のスキルを活かしたフリーランスというワンクッションを置きました。

今から考えれば、この時の英断があったからこそ、新卒で入社した会社のような肉体労働から解放されたのだと実感できます。急がば回れという格言の通り、慌てて誰でも雇ってくれる求人に飛びつかなかったことで新たな道を切り開けました。どっちみち、不利な職歴のままで再就職を果たしても、さらに足元を見られるだけでしたから、落ち着いて対処して良かったです。

個人としての実績によってプロとして再就職

個人として活動する中で、色々な顧客と接する機会を得ました。フリーランスのライターは立場が弱く、クラウドソーシングでは単価が限られているので数をこなすしかありませんでした。いかに再就職活動につなげるのかがポイントだったので、幅広い分野を執筆しつつも優良な顧客の見極めや効果的な営業の方法を自分なりに模索していったのです。

ライターは昔から稼ぐのが難しい職種で、私自身もいつまでもフリーランスの立場でいることは予定していませんでした。未知の業界でノウハウを蓄積しながら、自分を必要としてくれる新たな職場の発見が主な目的だったのです。

編集部に就職

結論から申し上げると、地域密着型のミニコミ誌を扱っている編集部に再就職しました。転職活動が成功したとも言いますが、私にとってはフリーランスでいた期間は現在の仕事の下積みという感覚です。ただ、勤務先から受け取る給料だけに依存する危険性を痛感したので、収入の複数化として副業をいくつか行っています。

ライターは正社員であってもいつ失職するのか分からない側面があるため、余剰資金を貯蓄として積み立てるのみならず、投資運用によって自分のお金を増やす試みも始めているのが現状です。

転職活動は現在の会社に在籍しながら行うのが基本

私は上司との相性が悪かったせいで、転職活動でかなり苦労しました。これから転職活動をする方は、できるだけ現在の会社に在籍しながら行うことをお勧めします。所属している会社があれば、転職活動における在籍確認は電話によるチェック程度で済みます。当然、まだ在籍しているわけだから、辞めた理由をしつこく聞かれることもありません。

もしも私と同様に会社で苦しい立場に追い込まれそうな時や、会社の業績そのものが怪しい時には、早めに転職活動を始めましょう。私もプロのライターとして再就職活動をする時には人材紹介会社に登録して、自分の希望条件とマッチングする編集部を紹介してもらいました。

転職支援サイトを利用すれば、現在の会社に勤めながら周囲にバレずに転職活動を進められます。仮に過去に戻れるとしたら、辞めるまでの時間稼ぎを行いつつ、まず大手の転職支援サイトに登録する段階からやり直したいです。今の仕事はやりがい抜群で、自分でよく考えた上で決断したことだから特に不満はないものの、もっと冷静に求人を比較したかったという心残りがあります。一度会社を辞めたら再就職活動という茨の道になることを理解して、慎重に転職活動をすることが大切です。

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