以前正社員として、アパレル関係の会社で仕事をしていた時がありました。仕事は主に営業事務で、電話応対や伝票整理を中心にやっていました。しかし会社の規模が小さいこと、女性社員は大抵30歳までには辞めてしまい、家庭に入ることが多いなどの理由で、仕事を続けたい私は転職をすることにしました。
転職はハローワークを利用したのですが、なかなかこれという会社が見つかりません。そのうち、勤めていた会社の取引先のショップで、事務関係の社員を募集していることを知りました。これはチャンスだと思い、早速履歴書を送ったところ、面接のお知らせが来ました。面接と簡単な筆記試験があり、その後合格通知が来たため、そのショップに勤めることになりました。
仕事をしながら資格を取る
ショップ勤務は、販売員はシフト制ですが、私のような事務職は勤務時間が決まっていました。時々は残業もありましたが、比較的時間通りに帰れる日が多く、それを利用して資格取得の勉強を始めました。
簿記の資格を取る
まず簿記の資格を取ろうと思い、1年間勉強した挙句、3級をまず取ることができました。その後は2級にチャレンジすることにし、さらにもう1つ別の資格を取ることを考えていました。英検は既に持っていたし、いずれにしてもオフィスワーク関係の仕事に役立つ物を取りたかったので、IT関係か秘書検定のどちらかにしようと考えていました。そのまま何か月か経ち、簿記の2級には無事合格しました。
簿記の他に取るべきものといえば
このショップでは事務のエキスパート的な上司がいました。この人は時々昼食に誘ってくれたので、今後事務を極めるにはどのような資格を取るべきか聞いてみたところ、その人はちょっと考えて、秘書検定を勧めてくれました。そして、もし今後事務畑で活躍したいのであれば、ITのスペシャリストも悪くないと言ってくれました。
考えた挙句、まず秘書検定の試験を受けることに。この秘書検定では、2級を取る予定でしたが、落ちてしまったので再度挑戦することにしました。それやこれやで、そのショップに転職してから3年が既に経過し、私も30歳が目前となっていて、30歳までに次の転職ができないものかと考えていました。
簿記の資格を活かせるアルバイトをする
その後秘書検定の試験も合格し、次の転職先を探すようになりました。この時は転職サイトを利用することにしました。しかし資格は一応手に入れたものの、それによる職務経験がないとかなり厳しそうです。そこでショップに勤めながらできるアルバイトを探しました。実はこのアルバイトは、自分で情報誌を見ながら探していたのですが、考えてみれば、転職サイトではアルバイトも紹介してくれるはずです。
そのためまず簿記の資格を生かせるアルバイトを探しました。これはなかなか見つかりませんでしたが、ある学習塾で週に2回ほど、経理関係で夕方から夜に勤務できる人を探していました。
週1回学習塾に勤務
一応そこに面接に行くと、既にその日決まったということで、正直言ってがっかりしました。すると応対してくれた経理関連部署の方から、ならば週1日だけ来てくれと言われました。何でも合格した人はお子さんがいて、その補助的な業務でよければということでしたが、週1日なら本業にもさしつかえないし、経理そのものはあまり経験がないので、これはむしろ好都合といえました。
そこで週1回、2時間ほどの勤務でしたが、通っているうちに、経理という仕事の仕組みにも慣れていきました。また、私の前に合格して勤務している人とも仲良くなり、色々仕事関連で話をするようになりました。
Sさんからの紹介と転職サイトの紹介
その人、仮にSさんとしておきますが、そのSさんのご主人は、外資系の会社に勤務しているということでした。特にアルバイトをしなくても生活はできるけれど、せっかく簿記の資格を持っているからそれを活かしたいということで、その点では私と動機が同じだなと思いました。
ただ私の場合は、キャリアアップのためというのが異なる点でした。そうこうするうちに、転職サイトの方から通知が来て、経理関係の仕事で求人が来ていることがわかりました。しかしその会社名を見て驚きました。そこは少し前に、Sさんが話していた会社で、経理が少しできて、あなたのように英語ができればいいかもと言ってくれていたところだったのです。もしよければ主人に頼んであげるとも言われていて、どちらを取るべきかでかなり迷いました。
入社試験を受ける
しかしもしここでSさんにお願いしてしまうと、そこで仕事をしていて、万が一ミスをしてしまった時は、Sさんに迷惑がかかることになります。ここは転職サイトの紹介という形で、入社試験を受けることにしました。そのことをSさんにも話したところ、納得してくれました。そこの試験は平日に行われるため、有休を取ってから行くことにしました。
最初は一般常識と英語の試験、午後はヒアリングと経理関係の知識に関するもので、1週間後に結果がわかることになっていました。2人だけの採用なのに何十人も来ていて、人気の高さがうかがえましたが、私としては、やはり結果がどうなるかが気になっていました。
一次試験合格
1週間後というか6日後に通知が来て、一次試験に通ったので二次試験を受けてほしいということでした。二次試験は面接と英会話で、気を抜けないなと思いました。ショップの事務所で仕事をしていても、面接のことを考えて無意識に身構えてしまい、部下から何をやっているのですかと言われたりもしました。
そこでの仕事も4年が経ち、私にも部下というか、アシスタントがつくようになっていたのです。二次試験は土曜日に行われ、自分なりにベストを尽くしたつもりでしたが、この時も20人近くが試験に臨んでいました。前回は合格と不合格、どちらにも通知が行くことになっていましたが、今回は合格者のみで、しかも3日以内にということでした。
二次試験合格と退職
その2日後に電話が来て、合格したことを伝えられました。嬉しいという気持ちもありましたが、今までやって来たことがやっと報われたという気持ちと、これからショップに辞職願を出さなければならないなという気持ちとが、入り混じっていました。
入社は一月後でしたので、それに間に合うように辞職願を出し、事務所の人と販売員さんにもそのことを伝えたところ、退職日の少し前に、送別会を開いてもらえました。以前のアパレルの会社では、こういうことはなかったので、ちょっと嬉しく、また照れ臭く感じられました。その後お菓子とスマホケースを餞別にもらいました。
入社して2年が経ちました
一応Sさんにもこのことを知らせたところ、とても喜んでもらえました。そして入社日となり出社して、まず感じたのは、流石に外資系だということでした。普通事務所といえば、机を並べて仕事をすることが多いものですが、それぞれのスペースがパーテーションで区切られていて、そこにデスクとPCがありました。
最初数日間研修があり、その後はすぐに仕事を任されるようになりました。入社の前に英文経理についても勉強したのですが、それはあまり必要なかったようです。ただし学習塾の頃に比べると、当然というべきか、かなり仕事内容は複雑になり、自分でスキルアップして覚えて行くようになりました。
その会社に転職して2年になります。昔の友人はほとんど結婚しましたが、私はこの仕事を続けたいので、もうしばらく様子を見ようと思います。またSさんとは、その後もお付き合いをさせていただいています。ホームパーティーに招かれたこともありますので、今度は私がご招待しなければと考えています。