年収が100万円ダウンした転職と3ヶ月で退職するまでの道のり

転職前の私は、派遣で建築系のCADオペレーターをしていました。
派遣社員は「不安定」「使い捨て」「正社員になれないから仕方なく」といったマイナスイメージばかりが取り上げられますが、私個人は、女性で子供を持つ身なのでメリットの多い働き方として満足していました。
その理由としては、

  • 休暇が取りやすい
  • 有給休暇が全消化できる
  • 都合のよい勤務地、勤務時間を選べる
  • 自分の学歴では入社できない大手企業に勤務できる
  • 勤務先との交渉はすべて派遣会社が行ってくれる
  • 小さな会社で働くよりも高収入になる高時給
  • 残業代は25%増しでしっかり分単位で支払われる
  • 休日出勤は50%増しで支払われる

といったところが主で、一般的な事務職などに比べると安定していて好待遇な会社が多く、働きやすかったような気がします。
月に1~2回の休暇を取得しながらも年収は350万円ほどありましたので、これといった転職理由も転職機会もないまま、派遣勤務で40歳になっていました。




ネット広告に踊らされて転職決意

ある日、ネットを閲覧中に1つの広告が目に留まりました。
「あなたの年収は年齢に見合っていますか?」
勤務地、職種、年齢、性別などを入力すると、一般的な同業の正社員で働く人の年収が表示され、それは、私に小さな不安を抱かせました。
「え?私と同年代の女性はこんなに稼いでいるの?」
その疑問を解消しようとネットで調べれば調べるほど不安は募り、やがて不満へと変わっていきました。
不満点は以下の通り。

  • 年に一度の昇給がない
  • 賞与がない
  • 有給日数が少ない
  • 時給制のため稼働日数によって給料に変動がある
  • 退職金がない
  • 正社員に比べ、社会的信用が低い

これらは全て納得済みで、それ以上のメリットを感じて派遣を選んできたはずなのに、この時は完全に「自分らしさ」をへし折られたような思考に追い込まれていました。
「転職しようかな」ではなく、「転職しなければならない」という強迫観念のような精神状態で転職を決意し、そのための準備時間すら惜しみバカな転職活動を始めてしまいました。

転職活動で感じた年齢の壁

正直、派遣で働いていると年齢の壁を意識する必要がなかったというか、特にCADオペレーターという仕事はCADが使えれば年齢は関係なく仕事が得やすいということもあり、派遣会社に転職意思を伝えれば次から次へと転職先候補が上がってくるような状態だったため、何歳になっても働けると安易に考えていました。

また、CADだけでなくWord、Excel、PowerPoint、Accessを使いこなせるという自信もあり、CADオペレーターじゃなくても何でもできると自分を過大評価していました。

ところが、いざ自分で求人情報を見ると、「35歳以下」「大学卒業以上」などの制限記載が多いことに驚きました、
また、待遇面の良くない募集も多く、「会社カレンダーによる休日」「月に数回の土曜日出勤有り」といった土日祝日の休みが確約されていない募集や、「〇〇時間分の残業代込み」といった記載にショックを受けました。

残業なしで残業代込みの給料が支給されるなら得ですが、残業時間が多ければ明らかに見合わない給料になるわけで、その多くが諸手当込みの月給が30万円以下どころか25万円以下ということに愕然としました。

諸々の条件を考慮すると通勤時間が長くなったり、悪条件のオンパレード。完全に負の思考ループにハマった私が出したのは、「転職しない」ではなく「条件を下げて転職する」でした。

「40歳の私」「大卒ではない私」が「通勤時間をかけず」に「土日祝日完全休み」で「賞与、退職金制度のある会社」で「家庭と両立」しながら「社員になる」ためには、「会社の規模にこだわらない」「職種にこだわらない」「仕事内容に見合うなら給料額にこだわらない」という本末転倒な条件での転職活動を開始していたことに、我ながら呆れます。

友人からこの内容で相談されたら間違いなく説教していたでしょうが、誰にも相談せずに行動したことも間違いでした。なぜ、そこまで転職に追い詰められていたのか・・・
失敗を自覚し、後悔の末に冷静さを取り戻した今の私には、全く理解できない精神状態に追い込まれていたとしか思えません。

就活の苦労

ハローワークに出向いたり、ネットで求人検索したり、求人を探すだけでも時間をとられ、エントリー用の履歴書や職務経歴書の作成作業も一苦労。派遣社員は完全受け身で、それら一切を派遣会社がやってくれていたため、これがかなり大変でした。面接の連絡を受けて出向くと、募集内容とは違う条件を提示されることもしばしば。

具体的には

  • 就業時間や残業時間、休日が記載と違う
  • 「記載の給料は最低給料であり、経験や資格によってスタート給料は上がります」と記載され ていたのに、最低給料からのスタートを提示される
  • 就業時間外の無給での研修などの強制

などなど。
面接に出向いた時間と交通費を返してくださいと言いたくなるような経験を重ねるうちに、自信を失い、己の無力さを痛感し、年収を上げるための転職から、転職できるなら年収が下がるのは仕方のないことと思考転換されていました。

転職して分かったこと

2か月ほどの転職活動の結果、内定がとれたのは3社。どれも似たような条件だったので、家から一番近く徒歩通勤できる会社への入社を決めました。誰もが一度は社名を聞いたことのある某メーカーの企画事務月給は派遣の時より10万円下がるが、土日休みで賞与、退職金制度有り、残業少なめ、残業代別途支給など、条件はまあまあ納得のいくレベル

正社員になることだし、多少のことは我慢して働いていこうと思っていましたが、派遣ならではというべきか、大企業での勤務経験しかなかった私には出勤初日から違和感の連続でした。

出勤時間

最初の違和感は出勤時間。
私の勤務してきた会社では、社員も派遣も始業時間より大幅に早く出勤してはいけないというルールを設けており、5分前にPCを起動して着席していれば良いというユルい会社が多かったのですが、この会社では30分前には着席して業務開始していなければいけないという暗黙のブラックルール。

面接では聞かされていない出張

今後の業務説明と言って会議室に呼び出されて告げられたのは、面接時には聞かされていなかった出張や支店への外出。出張に関しては、月に1~2回の関西方面への日帰り出張。その交通手段は驚くことに車。確かに私は自動車免許を持っており履歴書にも記載していたが、完全なるペーパードライバーで何年も運転などしておらず、もはや高速道路なんて100%走行不可能なレベル。

そして日帰りとなれば、肉体的な疲労度は想像するだけでも恐ろしい。万が一、高速道路で事故でも起こしたら、自分が事故を起こさなくても巻き込まれたらと考えると、分かりましたと受け入れるわけにはいかず、しかし、それが上司には理解できなかったようで、「今まで拒否した人はいない。あなたは少し心配症なんじゃないか」と怪訝な顔で言われました。

残業

残業に関しても、残業時間は月に10時間以内と聞いていましたが、早く帰れたのは最初の2週間だけで、業務を早くこなせば次から次へと仕事を増やされ、気付けば毎日2~3時間の残業

我に返り3ヶ月で退職

給料が低いので残業代も低く、派遣の時よりも大変な業務、長時間労働になったのに年収は100万円以上ダウンしている現実に我に返り、3か月ほどで退職しました。

結果的に大きな勉強をしたことは確かですが、それは、無駄な勉強であったことも確かです。
私の場合には、派遣という形で自分の生活や考えに合う働き方をしっかり選べていたし、派遣会社という守りの下で安心して納得できる給料を得られていたのに、マンネリ化した安定の中で囁かれた魔性の言葉のように、たった1つの広告に踊らされてしまいました。

幸いにも、捨てた職が派遣だったため、再度、派遣で同条件の会社への就職が可能でしたが、それが正社員で長く務めた会社だったらと考えるとゾッとします。
いま転職を考えている方が私のような失敗をしないよう、参考になったら幸いです。

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