ブラック企業ではまず残業代が満額支払われることは少ないです。実際働いていたブラック企業では9時間拘束の8時間勤務というごく当たり前なシステムでした。しかし実際は一日平均16時間の実働時間でした。そして残業代申請は2時間まです。物理的に考えて24時間かかる仕事量を「一日で仕上げなさい」ということも普通にありました。
勤務時間外の15時間の内、13時間はサービス残業です。8年間務めましたが支払われていない残業代を考えると、単純計算でも1000万円は超えてくる計算になります。
対してホワイト企業は残業も少なめで36協定も守るようなシステムです。「ホントにこれでいいいのか?」と戸惑いもありましたが、それが社会の普通だと今では認識しています。残業代も時間分きちんと支払われたので満足できました。
休日がきちんと確保できるかどうか
ブラック企業には休日返上の勤務がある
ブラック企業では残業と並んで酷いのが休日の返上です。法律上で最低でも月に4日の休日は保証されているはずです。例外もありすますが、法律上は厳守するべきものとなっています。私がいたブラック企業ではそんなことはお構いなしでした。1ヶ月間休みがないことは普通でしたし、休日を取れても呼び出しで潰れてしまうことも多々ありました。休日出勤の給料も支給されたりされなかったりです。辞職するまでの終盤には休日は携帯の電源を落として凌いでいました。
休日の確保が完璧なホワイト企業
対してホワイト企業はこちらも36協定順守で休日の確保は完璧です。稀に急ぎの仕事が入ると休日出勤もありますが、給料保障はもちろんのこと休日出勤手当を頂いた上で代休まで提案してくれることもあります。さすがに代休はどうかと思うのですがそれくらい手厚い対応でした。
好き嫌いで人を判断するかどうか
好き嫌いで判断するのがブラック企業
ブラック企業では階級が上がれば上がるほど、自分にすり寄ってくる人間を大切にする人がほとんどでした。例えば係長クラスの人でも役員などに気に入られれば、突然部長職に抜擢なんてこともありました。
次長や室長を飛び越せるような能力がなくても、媚びを売っていれば気に入られて取り立てられるという風潮がありました。逆に権力者に対して礼節を持った程度の敬意の示し方ではヘタをすると嫌われてしまい悪評が立つこともありました。私は課長さんから酷い叱責を何度も受けて半年間風評被害に悩まされて仕事の妨害をされたこともありました。
仕事の評価も結果で判断してくれたのがホワイト企業
対してホワイト企業では好き嫌いでなく、その人を認めることから入ってくれるので安心して仕事ができました。「社内のすべての人間と性格や人間性が合うはずがないんだから、合わない人とはビジネスライクでいいじゃないか。それも仕事の内だよ」と仰ってくれる方もいて凄くやりやすかったです。仕事の評価も人間性ではなく結果で判断してくれるので良くも悪くも自己責任。仕事にも一層身が入り精度も向上しました。
仕事に対する姿勢の違い
ブラック企業は仕事を協力しない
ブラック企業の現場にいる人達のほとんどが仕事に身が入っていませんでした。というよりも仕事をしているフリをしている感じです。物理的に無理な作業量ですから如何に長く引き伸ばすことで少しでも楽をしようと考えるからです。なので協力するということもまず無いです。下手に人の仕事を手伝えば自分に被害が生じる可能性もあるからです。
大きな仕事をなるべく避けて長い時間かけてやることで実際の仕事量を減らそうとしていたんですね。でもそうすると仕事をこなす人間に煽りが来ます。同じ時間を働いても仕事は人の何倍にも膨れ上がります。そのポジションを避けるために人身御供を数名差し出すというような悪癖のシステムがあったようです。
全員で仕事を終わらすのがホワイト企業
対してホワイト企業は仕事の割り振りも安定していて、進捗が遅れているところには応援が入りました。自分の仕事というものはありましたが、完了予定が納期に対して微妙な時には報告すれば適した人材を派遣してくれました。全員が一丸となって仕事を終わらせる姿勢が素晴らしく印象的です。残業が発生しないように協力してなるべく早く帰ることが目標なので全力投球で気持ちよかったです。
組合などの組織が整備されているかどうか
名ばかりの組織しかないブラック企業
ブラック企業では組合とは名ばかりの組織しかなかったです。本来の組合は社員の要望や不満に対して会社と対立してでも意見を述べる組織のはずなんですが。勤めていた企業では組合に発言権はなく形だけの組織でした。残業然り休日出勤然り、何も改善されないまま現場だけが混乱するという状況でした。
パワハラやセクハラなども日常的でしたが、それを訴える委員会も無かった状態です。ある社員が外部機関に相談、改善要望をして貰ってましたが、知らない間に会社から消えていたという事もありました。
実際言われた言葉には「お前たちが考える必要はない。言われたことを言われた通りやればいいんだよ」というのがあります。要するにだ「黙って私たちの為に働け」ということでした。まるで奴隷扱いです。
パワハラ・セクハラ委員会もホワイト企業には設置
対してホワイト企業には組合がきちんとあります。もちろんパワハラ・セクハラ委員会も設置されています。匿名での相談窓口も別途設けられているので仕事面だけでなく体調面での相談もできました。さらに社内に救護室というものがあり、体調不良の社員が出れば専門の医療担当者が看護してくれるという手厚さでした。組合では基本給の引き上げ交渉などもしてくれて少しではありますが給料が潤った事もありました。
ツライ環境を普通と思うかどうか
初就職がブラック企業の場合は何を基準にしていいか分かりません。ニュースで得た残業時間での訴訟情報にビックリすることはありましたが「それって普通じゃない?」と思う自分もいました。置かれている現状が平素のものなので、それと類似した案件の訴訟なんかが起きても驚くだけでした。
何をもって普通だと判断していたのか今では疑問ですが、自分の置かれている境遇が当たり前と思っている時点でどっぷりブラック企業の一員でした。先輩社員や上司からも「これが普通だ」とか「泣き言をいう暇があったら働け」という風に促されていたからだと思います。
おかしいことに気づいた
転職のキッカケもたまたま知り合った外資系の方に「明らかにおかしいでしょ?」と説明されたからです。体力面で折り合いが付けばいつしか普通じゃないことが普通になってしまうのでブラック企業勤めは自分を盲目にします。
対してホワイト企業では客観的に現状を見ることができる仕事量なので、現実を見落とすようなことはなかったです。仕事の量は自分の回転力で何とか回すしかないと思い込んでいましたからギャップに戸惑いすら覚えました。実感したのは本当にブラックな企業に勤めていたんだなということでした。
まとめ
- ブラック企業:人材を大切にせず、なるべくお金を使わずに仕事をさせる。
- ホワイト企業:人材を大事にして透明性のある組織づくりを目指し、真摯に仕事に取り組む。
以上のように言えると思います。私が経験した以上の事を味わった方もいらっしゃるでしょう。人を大切にするのが会社の基本であり社員のモチベーション向上には欠かせないものです。「自分の利益ばかりを追及して人をないがしろにすることしかできない企業」をブラック企業と呼ぶのでしょう。「人というものを人間扱いして当たり前のことを当たり前にできている企業」のことをホワイト企業と呼ぶのだと思います。とても単純なことですが利権が絡むと人は倫理観を見失いがちな様です。