これまで私は、臨床心理士の資格をとるまで医療機関のリワーク部門で1年間働き、資格取得後4年間を外来部門で働いていました。
リワークでの業務は、リワーク対象者に対して週4日間朝9時から夕方16時まで、心理的専門プログラムの実施、その他運動プログラムも含め、就職に関するメンタルケアの面談を適宜行うといったものが主なものでした。
一方で、外来の業務は、新規患者の初診予約をとる、新規患者に対するインテーク面接(成育歴などを中心に聞く)を行う、継続になる患者に対するカウンセリング業務や心理検査を中心に行っていました。
医療現場では心理士としての心理専門的な知識のみならず、精神科医の得意とする精神病薬の知識も求められますので、医療知識は常に学んでいました。
その職場での業務は私にとって、やりたいことの一つでもあったので魅力的なものでしたが、そんな中で医療分野から教育分野への転職を行い、年収を100万円以上上げることになりました。
転職を決めた理由
医療現場での業務は、心理士としてもやりがいを感じられるものでしたが、そんな環境でありながら私が転職を決めたいくつかの理由があります。ちなみに、私が働いていた医療現場は、精神科のクリニックで、駅からはアクセスのよいところに位置していました。
給料面での不満
一つは、給料面での不満でした。心理士の給料はピンからキリですが、基本的には資格取得見込みである段階では、月に稼げる額は一般の新人会社員の給料の半分であることが多いのが現状でした。例にもれず私も、勤め始めから1年間は月に10万円程の手取り(税金などを差し引かれて、残った額)しかありませんでした。
資格取得後も、手当てがついても月あたり貰えた額としても11から12万円程でした。
一人暮らしをしていたこともあり、家賃や光熱費などを支払いすると手元に残るお金も微々たるものだったため、週1日は別の仕事(教育分野で非常勤職員として相談業務を担っていました)を入れて、食費や貯蓄に充てるお金を捻出していました。
時間の確保が難しい
もう一つの理由としては、心理士として参加する学会や研修会への遠征費が必要で行きたいと思っていたが、なかなか時間がとれなかったということです。大きな学会は、基本は土日に行われており、土曜日出勤が隔週にてあった私にとっては行きたい日に参加が難しい状況でした。
なお、土曜日の外来終了後の夜には、心理士同士で集まって2時間から3時間ほどの勉強会を行っており、その勉強会参加のためにバッティングしてしまっている他の研修会予定は、やむなくキャンセルするのも辛く感じていました。他にも、土曜日に行われる友人の結婚式にも参加出来なかったのも、悔やまれる思い出の一つともいえます。
学校で心理士として活躍したかった
他にも、理由としてあげられるものとして、大学院時代より私は教育分野、主に学校で心理士として活躍することが夢だったということです。現に、今の医療機関に勤めようとしたのも、現場での相談実績を積み、医療知識を得ていずれ教育分野で活かせるだろうと考えたからでした。
そして、教育分野に応募しようと思った時期にはすでに締め切られており、その時期に出ていた現・クリニックの募集に応募したという現実的な問題もありました。
さらには、仕事先で対応する対象者が、医療現場と教育現場だとその健康度に違いがあるということでした。資格取得見込みの頃は、試験勉強と共に仕事を行っていたこともあり、私自身も慣れない環境に少しでも慣れようと必死になり、知らず知らずのうちにストレスをためていたように思います。そんなストレスフルな中で相談に来た人のケアを誠心誠意出来ていたのか、と問われると、プロとして100%自信を持って言い切れない部分が私にはありました。
学校の心理士に転職後に具体的に何がどう変化したのか
では、私が実際に転職した後に何が具体的にどう変化したのかということを述べたいと思います。
給料は月25万から30万円へ
まずは給料面に関してですが、クリニックの勤務を週4日から週2日から3日に変更し、これまでの教育分野での仕事を学校での心理士に替えてそこで週1日の勤務形態にしたところ、給料は月に25万から30万円近くに変化しました。
給料が上がったことで、家賃や光熱費のみならず、食費や貯金にも十分に充てられる様になり、生活もずいぶんと楽になったことは言うまでもありません。これまで金銭面で苦労をかけてきた両親にも、月々いくらかのお金を入れることで恩返しが出来たことは非常に嬉しかったです。
さらに、娯楽費にも充てられるようになり、女性磨きのためのサロンや婚活サイトへの登録なども行いました。この時の経験のおかげで私も、今の旦那に出会うことが出来ましたので、この転職成功は非常に大きな転換期でした。
学会や研修会への参加も可能に
そして、心理士として参加する学会や研修会への遠征費や時間がとれなかったという制限に関しては、転職によりクリニックでの土曜勤務がなくなったために土日の学会や研修会への参加が可能になり、勤務時間も日数も減少したために時間的余裕が生まれ、公私共にある用事もこなせるようになりました。
土曜日夜の心理士同士での勉強会自体も月1程度になったこともあり、土曜日の予定に関しては非常に立てやすくなったことで、心理士として知識の研磨のみならず、心の余裕も作ることが出来たように思います。やはり、プロとして仕事をする身であっても、プライベートの時間はとても大切なのだなということを転職を機に感じました。
学校で心理士として働くことができた
なによりも、大学院時代より願っていた学校で心理士として活躍するという夢が叶えられたことは非常に嬉しいことでした。通勤時間はクリニックに比べると、駅より多少歩くところや通うのに不便な場所にはありましたが、やりたい仕事であるということ、新人をサポートする環境も充実していることもあり、不安に思うことも少なく、契約期間いっぱい欠勤もなく勤めあげることが出来ました。
さらには、医療現場の時と異なり、教育現場だと学校の児童・生徒やその保護者、学校の教員関係という健康度も高い対象者であることで、心理士としての私自身も新しい職場でもうまくストレスコントロールが出来、対象者のために適切なメンタル支援が可能になりました。
仕事を終えた後の、気持ちの切り替えも以前より早まり、浮いた時間を仕事に使用する資料やプライベート充実へと充てることが出来ました。もちろん、医療現場での対象者の方々とも真摯に向き合い、私なりに精一杯やってきたつもりですので、その方々が悪いわけではなく、あくまで自身との相性が良い層というものがあるということなんだと思います。いずれ私がもっと臨床経験を積み、様々な人へのアプローチが可能となってくれば、医療現場での対象者の方々への支援も未熟であった時よりも、適切なものが出来ると考えています。
クリニックの心理士から学校の心理士に転職して
今回、医療現場(クリニックの心理士)から教育現場(学校の心理士)への転職をはたし、そのおかげで年収が100万円アップしました。
心理士はおおむね、保障制度が手厚い会社員とは大きく異なり、ほとんど保障がないのが現状です。そのため、私自身も退職後の老後不安もあり、個人で年金を積んでいます。
いざ体調を崩してしまったときに対する保障が充実していない分、稼げるうちにある程度の収入を得られることは後々の自身にとってプラスになることは大きいため、今回の転職によって得られた収入は有難いものとなりました。