私は、今から5年前に転職をしました。経験を活かすために同業種への転職を希望していましたが、実は同業種でも、視野を広げたり、いろいろな方向から見るとさまざまなことができ、経験の活かし方は意外なところにもあるということを今回学びました。転職までの経緯から転職後まで、自分が学んだことやわかったことをまとめてみました。
転職前の仕事について
私は、短大卒業後に医療事務の資格をとり、資格をとったセミナーの紹介で総合病院に就職しました。医療事務の仕事は、病院の受付や毎月の診療報酬のレセプト業務がメインでしたが、私の仕事はカルテやレントゲンフィルムの管理でした。
医師の補佐に近く、カルテに内視鏡の写真を貼ったり、カルテを外来や入院病棟に運ぶ仕事です。カルテの中身を確認して医師印が押し忘れているものには印を押す依頼をしたり、追記をいただいたりしていました。これより以前は、医療事務の資格を取る勉強をしながら、小さなクリニックでやはり医療事務のアルバイトをしていました。
長く社会人として働き続けるために、安定感のある病院での仕事を希望していたのです。淡々とした仕事でしたが、8年間、この総合病院で働きました。
転職のきっかけは有給が取れないことと残業
大きな病院でしたので、確かに安定感はありました。毎月の給与は減ることはなく昇給もあり、年2回、ボーナスもありました。有給休暇ももちろんありましたが、実は、有給休暇があっても取らせてもらえることがほとんどなかったのです。病院の仕事ですので、働く時間が決まっていても仕事はたくさんあり、毎日最低残業2時間は当たり前でした。
正社員なので、残業があるのは仕方がないとも思っていましたが、日によっては23時ころまであることもあるのは、入社した当初は聞いていませんでした。休日出勤も定期的にあり、体を休める時間が日に日に少なくなっていったのです。
希望していた総合病院での仕事だったので、経験もたくさん積みたいと思っていたため8年間働きましたが、精神的にも肉体的にも疲れがたまってしまい、次第に、もっと効率よく働けて、さらに自分自身の仕事もレベルアップできる仕事場があるのではないかと思い、転職を決意しました。
転職活動を開始
転職を決意しましたが、いきなり退職するよりは、自分の生活の経済面のためにも今の仕事をしながら転職活動をしようと考えました。最初は、職場の人には転職を決めたことは伝えませんでした。昼間は今まで通り病院で働いて、夜、自宅に帰宅した後はネットの転職サイトで求人情報を見る日々が続きました。転職情報誌を買ってきたり、土曜日はハローワークに行ったりしていました。
いくつか希望に合いそうな仕事を見つけて履歴書を送り、面接となったので有給休暇を使って受けに行ったりしていましたが、やはり、仕事をしながらですと、面接が急に決まったりすると、休みも急に取らないとなりませんし、もともと休みが取りづらい職場でしたので、無理がでてきました。
仕事を辞めて転職活動に専念
より早く転職を成功させるためには今の仕事を辞めて転職活動に専念したほうがよいと考え、退職を決めました。職場の上司には、退職理由を正直に転職希望していると伝えました。快く受け止めて背中を押してくれたので、もう少し早めに相談したほうがよかったのかもしれないと、今も今回の転職の反省点だったと思っています。
退職後の転職活動
以前の職場を退職したおかげで、転職活動に専念できるようになりました。面接の日程調整もスムーズにできますし、集中できるのでとてもやりやすかったです。私は医療事務の経験を活かしたかったので、自然に医療機関ばかりに履歴書を送ることになっていました。患者さんの役に立つ病院の仕事は好きで、自分にも合っていると思っていましたが、せっかく8年間の経験があるので、それ以外にさらにもっと幅広く活かして働くことはできないかと思い始めました。
幅広い仕事
医療事務で、医療機関以外の仕事を探してみると、役所での診療報酬のレセプト点検というのがありました。レセプトは、各病院から社会保険や国民保険に請求を出しますから、役所で医療事務の資格を活かして働くことができるのです。さらに探すと、薬局での調剤事務の仕事があり、これは医療事務として募集しているところもあるので、やはり資格や経験が活かせます。
薬局はスーパーマーケットの中にあるところもあり、スーパーマーケットの中で働くこともできるのかと、転職活動がどんどん楽しくなってきました。
最終的に見つけた転職先は保険会社
そうしていろいろ探しているうちに、転職サイトで、保険会社の求人を見つけました。一見、医療事務と保険会社は関係ない気がして、なぜ医療事務と検索をかけて保険会社が出てきたのかと募集内容を確認すると、その保険会社の今回の募集は、給付金の査定の仕事だそうです。お客様から預かった診断書を見て給付金が払えるかどうかの査定をするとのことで、診断書を見慣れている人や医療機関で働いた経験がある人が欲しいということでした。
詳細が知りたく問い合わせ
予想外でしたので、詳細が知りたいと思い問い合わせをしました。履歴書を送り、会社の見学に来てもよいとのことでしたので、行くことにしたのです。社内の様子を見学させていただき、詳しい話をその会社の方から伺いました。
未経験の方をお願いすると、見慣れない診断書の中身を見て驚いていまうことがあり、慣れた人をということでした。話を伺った結果、保険会社は未知の世界でしたが、経験が活かせて新しいこともできると思ったので、そのまま面接をし、合格をいただきました。
転職後の状況
経験が活かせるとはいえ、初めての種類の企業での仕事なので、やはり覚えることはたくさんありました。しかし、その一方で、確かに経験は活かせ、両方を経験できとても刺激になりました。
保険会社での私の仕事は、査定の他に診断書に未記入や不備があった場合、病院に電話で照会をかけるのですが、自分が病院で電話を受ける側にいたので相手のことがよく見えてとてもスムーズでした。
診断書も、医師がどのような手順で書いてお客様の手に渡るかもわかっていましたし、診断書の見方も慣れていたので、集中してどうしたら最大限、経験を活かせるかをいつも考えています。
職場の人々は、私が中途採用なので年下の人もいますが、みんなひとつずつ丁寧に教えてくれて、研修も充実していてとても快適に仕事ができています。休みも取りやすく、バランスがよく働けて、幅広くスキルアップもできました。
転職を決断して約3ヶ月で転職
私は、転職を決断してから約3ヶ月で、このように今の会社に転職することができました。転職を決めた当初は、経験を幅広く活かしたいとは思っていましたが、まさか、保険会社で活かせるとは思っていませんでした。頑張っていろいろ探してよかったと思っています。
医療事務は医療機関での仕事と思っていましたが、視野を広げてさまざまな角度からみれば、このように新な道が開けるのだと、身をもって知りました。これは、おそらくどのような仕事でも同じなのではないかと思っています。一つこれがやりたいと思っても、自分の可能性を閉じ込めず、大きくものを見ることも大事だと感じました。
もちろん、一つのことを続けていくことも素敵ですが、思い切って転職をするのなら、世界を広く見つめて転職活動することもよいと思います。転職にあまりよいイメージをもたない人もいますが、自分の想いがくじけることがなければ、まっすぐな生き方なのだと学びました。