母業を優先して、印刷業界へ
母になり、自分の夢より大切なものに気づきました。
スイミングコーチをやっていました。
スイミングコーチの仕事
小さな頃から水泳をしていて、大人になったらスイミングコーチになる事が夢でした。
その夢が叶い、生後5カ月の赤ちゃんから80歳位のお年寄りまで、毎日一緒にプールで泳いでいるのはとても幸せでした。自分の教え子が泳げるようになったり、タイムを縮めたり大会で活躍すると、とてもやり甲斐を感じていました。
同じ業界で頑張っている他のチームのコーチとの交流なども大切にしていました。
夢より大切なことに気づいた日
同じ職場の先輩と結婚することになり、彼も選手コースを担当していて合宿、遠征、大会などでいつも忙しい人でした。
しばらくすると、妊娠していることに気づきました。
忙しい時期に重なってしまい、お腹の子を心配しながらもスイミングの仕事母に続けていました。(今考えると恐ろしいです。)
ある日、恐れていたことが起きました。切迫流産になってしまったのです。それから長い間、入院そして自宅療養の日々が始まりました。まだ若かったせいか、早く仕事に戻りたいという気持ちで過ごしていました。
医師からは復帰しても生まれるまで配置転換してもらうのを指示され、スイミングに携わることが産後までお預けになりました。
しかしお腹が大きくなるにつれて自分の中で何かが変わっていくのに気づきました。小さな大切な命が必死に生きようとしている。ここで子供への愛情が自分の仕事の存在より大きくなっていったのです。
子供が産まれてからは、妊娠中よりもっと大変でした。
まだ小さな自分の赤ちゃんを保育園に預け、他の赤ちゃんの面倒をみる。熱を出した、嘔吐した、呼び出しコールの連続。子供の保育園イベントを欠席してプールのイベントを企画する。実家の母も孫の面倒による疲労でいっぱいいっぱい。私の心も体も限界でした。
そして、この世界に入れたことだけでも幸せだったと思おう、これからはこの子の為に生きていこうと、自分の夢を終わらせる事にしました。
土日休みの印刷業に転職しました
印刷業に決めた理由
スイミングコーチの時は、お便り作りや事務処理までパソコンを使うことを得意としていました。何より土日休み、16時までの勤務という事が魅力でした。パソコンは嫌いではなかったので頑張って覚えたいと思う気持ちもありました。
どのように転職したのか
前職の休みを使い、マザースハローワークに良く通いました。係りの方に事情を話し、親身になって話を聞いてくれました。
今の職場では
パソコン作業は得意でしたが、使ったことのないソフトばかりで何でこの業界に来たの?と言われたり、やはり子供の具合が悪いと休まなければならなくなり、周りの人の目がとても気になりました。
まして、新入社員で、あまり仕事もうまくいかないのに休んでばかり。
嫌味を言う人もいました。残業してナンボの世界なのにね。と、まで言われて16時で帰宅するのも嫌味の毎日。
嫌になって、ここでも心が折れかけましたが、子供の為に頑張ろうと、そしていつまでも周りに迷惑かけられないと、必死に仕事を覚えました。
1人でも仕事を任されるような人になろうという目標を持ち、何を言われてもいつか見返してやるという気持ちで頑張りました。
体育会系で良かったと思います。どんな嫌味もはね退け、今の仕事に就いてから10年になりました。
その間に第二子も産まれて、仕事もある程度出来るようになりました。
パートですが、社員さんより仕事量をこなせるようになりました。
一度は叶えた夢、終わらせることになった時はとても悔しかったです。
しかし今は家族で楽しく過ごせる時間がとても大切です。最初に生まれた子供には、あの時しっかりお腹の中でしがみついててくれてありがとうと感謝しています。
この話をすると、笑われてしまいますが、本当にあの時の私は未熟だったなと思います。
色々な就職問題はあるとは思いますが、目標や夢を持つのはとても大切だと思います。
実際に、今の私にはまた夢が出来たので、それを実現したい気持ちで勉強中です。苦労もあります。でも何かやれそうな気がします。
家族の為に、自分の為にと思えば、どこからか不思議な力が湧いてくるのです。きっと、叶えるにはまだまだ勉強が必要です。もしかしたら、叶えることは無理かもしれません。
でも、スイミングコーチになりたくて頑張ってきた学生の頃、親になって転職した時の努力、乗り越えることができたから、やれるような気がするのです。諦めるのは簡単ですが、後悔はしたくないのです。子供たちにも私のこの姿みせてあげたいのです。
そして、これから就職する人にも転職する人にも、私と同じく、母として頑張っているワーキングマザーの方たちにも家族や自分の為と過ごす素敵な毎日がやってくるといいなと思います。そして、世の中も働きやすい環境になって欲しいです。