会社員を辞める時は慎重にならなくてはいけません。これは説明するまでもないことかもしれませんが、勢いで退職してしまって後悔する人が少なくないからです。では会社員を辞めた後には、どのような後悔がやってくるのでしょうか。今回は私の実体験も踏まえて、会社員をやめた後に気づいた後悔を紹介していきます。
【後悔1】国民健康保険と国民年金の請求が思ったよりも多かった
会社員として働いている時は、厚生年金と健康保険に加入することになるので、国民健康保険と国民年金の加入が必要ありません。しかし会社員を退職すると、厚生年金と健康保険は脱会することになりますよね。そうなると、国民年金と国民健康保険への加入が必要となってしまうわけです。
私もそうだったのですが、厚生年金と健康保険は会社の給与から天引きされるので、あまり払っている実感がない、という方が多いのではないでしょうか。そして会社員の場合、厚生年金も健康保険も半分は会社が負担をしてくれているので、天引きされる金額もそこまで大きなものではありません。
しかし会社員を退職すると、国民年金と国民健康保険、それぞれの支払いを個人に求められるようになります。この金額が想定していたよりも多かった場合、会社員のメリットを知ることになり、少しの後悔が生まれてしまうかもしれません。
【後悔2】自分に自信がなくなってしまった
会社員を辞めてフリーランスになるぞ、と意気込んだとしても最初から上手くいくとは限りません。それは登記して会社を起こした場合も同じです。フリーランスや起業は保証が何もないところからスタートするわけですから、固定給もありません。そのためフリーランスになるぞ、と思って会社を退職して頑張っても、何カ月も給与が無い、という可能性もあるのです。
実際に私の場合、収入がゼロ、ということにはなりませんでしたが、最初の数ヶ月は10万円以下の利益しかなく、切り詰めた生活を強いられました。またそういった時期に公務員や大企業勤務の友人と会うと、華やかな生活を垣間見ることになります。
そこで、自分と彼等を比較して自信を失った時期もありました。今でこそ、そういった会社員として生きる人々とは違うレールの人生を歩んでいることに自信を持っていられますが、当時はそうではなかったのです。
フリーランスとして自信をつける方法は一つしかなく、それはある程度の収入を確保して生活を安定させることです。それができるまでは自信がないことが自然なのですが、会社を辞めてフリーランスを目指すなら、その辛さと向き合わなければいけない可能性が高くなってしまいます。
特に会社員でバリバリのビジネスマンとして働いていた場合は、そのダメージが大きいのである程度の自信の喪失は想定内としておいた方がいいといえるでしょう。
【後悔3】フリーランスという働き方を親や親戚が理解してくれない
会社員を辞めてから気づく後悔の三つ目は、フリーランスや起業という働き方を、周囲が理解してくれない時に訪れます。これはサラリーマン家庭で育った場合によくある光景なのですが、サラリーマン家庭の場合、「起業イコール危険」という固定観念を持っている場合が少なくありません。
これは実際に自分が経験したことがないので仕方がないことですが、多くの場合その思考パターンから、フリーランスとフリーターの違いを理解することもできません。
このような親や親戚と、フリーランスとして上手くいっていない時期に会ってしまうと、批判の的にされる可能性があります。または、「早く就職しなさい」など現在の自分がやろうとしていることを全否定されるかもしれません。このような言葉は仕事が上手くいっていれば、軽く聞き流せるのですが、上手くいっていないと、「やっぱり会社員の方がよかったかな。」と後悔してしまいがちです。
会社員として働くのを辞めて、フリーランスとしてやっていくのであれば、こういった周囲の理解の無さも越えていく必要があるといえるでしょう。
【後悔4】フリーランスとなったが収入が以前よりも低い
会社員を辞めてフリーランスとなったとしても、収入が以前よりも低くなってしまい、後悔することもあります。これはフリーランスへの期待が大きい人ほど生まれる後悔で、収入アップを目指して会社員を辞めた場合は特に後悔します。
またこの後悔は大企業で働いてきた経験がある人ほど大きいといえるでしょう。なぜなら大企業の場合、そこに所属しているだけで、決まった仕事をしていればある程度の収入が約束されているわけですが、フリーランスとなれば0から全て自分で考えて行動しなければいけません。
この一つ一つの行動を収入に結びつけて考えると、大企業で働くことがどれだけ効率のいいことだったのかを身に染みて実感するからです。もちろんフリーランスとしてやりたい仕事をワクワクしながらやっている場合、この類の後悔はあまりない可能性があります。しかしさほど好きでもない仕事をしている場合、収入が少ないことは心理的にも大きなダメージになりがちです。
ではこのような後悔をしないためには、何に気をつけるべきなのでしょうか。それはフリーランスになった場合、軌道にのるまで収入が安定しないことを受け入れることです。フリーランスのメリットは決して収入ではありません。よほど利益率の高いビジネスモデルを持っている場合は異なりますが、デザイナーでもライターにしても、駆け出しの時期から高い報酬を期待することはできません。
収入が下がるのがどうしても嫌だ、という場合はダブルワークという手段もあります。近年は副業を認める会社も増えてきているので、忙しい日々になる可能性は高いですが、ダブルワークの期間を1年から2年ほどつくり、実績と信頼ができてから、フリーランスに転向するというのも一つの方法です。
このようなある程度厳しい現実も理解した上で会社員を辞めることが、後悔をしない決断につながるといえるでしょう。
【まとめ】会社員を辞める時は、次の準備を入念に整えよう
会社員を辞めて何をするかは、人によって異なります。会社員を辞めてフリーランスになる以外にも、ビジネススクールや職業訓練校に通うことで更なるスキルアップ、キャリアアップを狙う人もいるでしょう。このような決断はとても勇気がいることです。そしてやりたいことのために会社員を辞めるなら、気持ちも高まることでしょう。
しかしここまで述べてきたように、会社員を辞めてしまったことの後悔は、辞めた直後ではなく、その後数ヶ月間にわたりジワジワと感じるものです。また後悔をしてしまうと、過去を振り返ることになるので、そうなると気持ち的にも落ちてしまいがちです。
せっかく新に取組み始めたフリーランスの仕事や、やるべきことへの集中力が低下してしまうというリスクもあります。
そのため会社員をやめる時は、どのようなデメリットがあるのかをしっかりと把握するだけではなく、どうやって生きていくのかを真剣に考えることが欠かせません。
フリーランスになるのであれば、ただ好きなことをするだけでなく、収支について考えることが大切です。職業訓練校で再度学生になるのであれば、再就職について考え、経済的な不安をなくすための工夫も必要だといえるでしょう。
つまり、会社員を辞める時は、辞めて次はどうするのか、ということをしっかりと考えておくことが大切なのです。会社員を辞めることは簡単な決断ではありません。これから人生の方向転換を考えている、という方は後悔のない決断ができるよう、現実的に先のことまで考え、自分の心とじっくりと向き合うことをおすすめします。