私は27歳で12年間勤めていた会社をやめ大学受験して大学生になりました。
中学を卒業後、勉強になんの興味もなかった私は、周りが高校進学をしている中で、なんの迷いもなく、就職への道をまっすぐと選びました。
小学校中学校の義務教育期間、楽しいと思ったことは一度もなかったためです「子供や嫌な勉強をするために学校にお金を払わなくてはならない、でも大人はある程度好きな職種を選んで仕事ができお金までもらえる」と本気で思っていました。学校で勉強するなんて嫌なことは早くおわらせて、早く社会人になりたかったのです。
親は「高校位でていないと将来どうなるか考えなさい。」とか、「中卒だなんて、周りに恥ずかしい」「そんな学歴ではろくな就職先がないのよ、」「まして将来結婚するとかなったときに結婚相手にどう思われるのか・・・」とすごい反対の嵐でしたが、そんなものは全く意に介さないほうだったので、中卒だから馬鹿にするようなやつとは相手が悪い、大事なのは人間性。中卒だから結婚相手にふさわしくないと思うの相手ならばこちらから願い下げだと、結局中学を卒業してからすぐ就職に踏み切りました。
就職先は健康食品系の営業職
仕事は健康食品系の営業職でした。
もともとあまり室内で一日を過ごすのは苦手という性格だったので、営業部に配置されたときは、願ったりかなったりでした。
お給料も中卒だからといって低くなることもなく、実力評価制だったので頑張れば頑張っただけいただくことができたので、あまり不満はありませんでした。
進学せずに就職してよかった
最初親がすごく心配していた仕事や給与という面では問題なく、幸い先輩にも恵まれ最初の4年くらいはいろいろあっても本当に楽しい毎日で「私はやはり進学せず就職して本当に良かった」と思える日々でした。
さて、就職して4年目、初めての配置転換を経験しました。今までお世話になった先輩たちとお別れするのは辛く寂しかったのですが、次の経験を積もう、と心機一転頑張る覚悟でした。
ひょんなことから高校進学へ
同じ営業部内での配置転換でしたが、だいぶ働く仲間の面子が変わりました。前にいた場所では和気あいあいという雰囲気だったの対し、今回の場所は皆がライバル意識バリバリという感じでピリピリした雰囲気を感じました。
大卒の先輩の存在
そんな中、初めてのあいさつ「〇〇営業所から移動になりました。よろしくお願いします」といったところ一人の先輩が「あ~、中卒の人ね」と私に言いました。もともとその類の言動を意に介さないタイプの私なので、「劣等感が強くいタイプほどこういうこと言うんだよね」と思って聞き流していました。
それがこの先輩のしつこさは予想以上でした。
他の人が同じミスをしても何も言わないのに、私がミスをすると「やっぱり中卒はね」。ちょっとでも、漢字を書き間違えたりするとじっとみていて「学がない奴はこれだから」。とにかく学歴を枕詞にして、私に心理的圧力を加えるようになっていきました。
こういう人間というのはもともと弱いのであまり気にすることはないし、己が優位に立ちたくて弱いものいじめをする卑怯者なので、極力相手にしないのが一番、と高をくくってすごしていました。ですが、ある日、会議の資料を作っていてナンバリングをうっかり間違えてしまったとき、またしても嫌な先輩に「これだから中卒は~。数も数えられないんだから」とののしりを受けました。
こういうのは何ハラというのかはわかりませんが、今まで聞き流していたはずの怒りが一気に心の中であふれかえり、口には出しませんでしたが、「親のすねかじって高校大学と出たやつのどこが偉いんじゃ、こっちはその数年の間に仕事して自分の事自分でやしなってんだけど」と思いました。悔してくて、先輩に「先輩のご学歴は?」と聞いたら大卒でした。
通信制高校に通う
中卒で問題ない、納得しきって選んだ就職。たった一人の先輩の態度で自分の決意を変えるのは何か違うと悩みましたが、悔しくて悔しくてたまらなかったので、何とか今から働きながらでも高卒資格を取ることはできないかとネットで調べまくったら、通信制高校があることが分かりました。
出願資格が義務教育を終えていることだったので慌てて願書を取り寄せ、幸いにも仕事が休みの日に入学試験があったので受けにいったら合格。馬鹿にした先輩の鼻を明かしてやりたくて、卒業まで内緒で通うことにしました。スクーリングなど出る必要がありますが、基本的には仕事先にばれずに卒業まで持っていけそう、と思ったので「何事もトライ」の精神で頑張りました。
学業と仕事の両立は簡単ではない
勢いで入学はしたものの、学業と仕事との両立は簡単なものではありませんでした。毎日学校に行かなくてはいいものの、その分提出するレポートがあります。教科書を読んで理解度を図るためののが多かったのですが、なにせ仕事だけでもぐったり疲れてしまう毎日。
帰ってきて、ご飯を食べて、シャワーを浴びて、明日の準備をしたらもう睡魔がやってくるという状態で、なかなかレポートが進みません。休みの日もなかなかやる気を出せずに苦戦しました。
でも、毎日人を馬鹿にする嫌な先輩がいるおかげでモチベーションだけはばっちり維持。いつの日か、「もう高校卒業しましたけど?」といってやろうと、生活ペースを変えました。
朝方の生活にし、高校を卒業
結構夜型でだらだらしがちの性格でしたが、とりあえず、シャワーを浴びちゃうとだらだらするという傾向に気付いたのでシャワーは翌朝に回し、夜の時間はちゃきちゃきとやることをやって、早寝して、朝は4時から起きて2時間くらいレポートをやる時間にあてました。
その繰り返しで、3年間かけて高校を卒業。今振り返ると今はやりの朝活をやっていた状態でした。高校を卒業した暁には嫌いな先輩をぎゃふんといわせる予定でしたが、その予定はなくなりました。高校在学中に、大人になってからの勉強ってなんて面白いんだ、と気付き先輩を馬鹿にするつもりがすっかり勉強にはまり、大学でさらに勉強を続けたいと思うようになっていたからです。
大学受験の準備をする
仕事をしながらの大学受験も大変な苦労でしたが、一度きりの人生、後悔だけは絶対したくないと、全日制の工学部受験にむけて必死の大学受験の準備です。金銭的に大変になることは目に見えていたので、奨学金制度の手続きも同時に進めました。
時には家庭教師の先生に来ていただき、とにかく会社にばれないように空き時間があれば勉強に励み・・・という形に毎日。入試の日には「もう忙しい中やれるだけのことはやった。どっちに転んでも悔いはない」という気持ちになっていたので、緊張すらありませんでした。
結果無事合格。27歳での受験でしたから、皆さんと10年近く遅れた受験生活でした。
大学生になってみて
例のとても嫌な先輩がいうものがくらいのものだから大学ってすごく学が必要なところだろう、と思っていましたが、想像よりは勉強一色という感じではありませんでした。
同級生が10歳くらい年下という事もあると思いますが、遊びもはじけ方も今まで自分が経験した感じでした。最初のうちは勉強についていくのは大変でしたが、そのうち単位ををとるコツなどもわかるようになり、憧れの大学生活はなんだかあっという間でした。
大学にいながら、「あのまま会社員をやっていてもよかったな」と思うときも何度もありまたが、人生の後戻りはできませんから、考えても仕方ないと大学を卒業するまで頑張りました。
会社員から大学生という珍しいタイプの転職(?)をしてみて個人的に思うのは、やはり明確な目的を持ってからの方が有意義な時間を過ごせるという事。周りに流されて大卒という人も多いと思いますが、人生のタイミングはみんな違うので、私はこの年齢で大学を卒業出来てよかったと思っています。