企業知財部への転職は難しいのか?特許事務所から大手自動車部品メーカーへ転職しました




前職は小規模特許事務所の特許技術者

前職の仕事内容

特許事務所において弁理士の補助業務を行っていました。
具体的には、クライアントの企業から特許出願の依頼を受注し、クライアントの代理人として特許庁に提出する書類を作成する業務を主に担当していました。

その他、クライアントからの案件を受注する際の窓口となり、各担当者への仕事の割り振りや納期管理など、リーダー的な役割を担っていました。(転職活動時の職務経歴書では、この点を主に書きました。)

前職を辞めた理由

明細書と呼ばれる特許出願用の書類をひたすら書くというのが特許事務所の仕事です。
業務に慣れるに連れて効率良く数もこなせるようになり、クライアントからの評価も得られましたが、忙しい割にはとにかく業務が単調で退屈でした。
そのような中で、クライアントである企業の知的財産部門の方たちの話を聞いていると、企業知財部のほうが業務の幅が広く、面白そうと感じたため転職を決意しました。
辞めた理由は、要は「隣の芝が青く見えた」ということでしょうか。

また、業務が多すぎて休日出勤も多く、プライベートな時間がとりにくかったのも理由です。そもそも所長が「ワークライフバランスなど考えるな、仕事が趣味でないとダメだ」という人だったため、所長の方針にも合わないという理由もあったかと思います。(そう言う割に、事務所に来ずにセミナーや交流会ばかり行ってる所長でしたが。。)

現職は大手自動車部品メーカー知的財産部

現職を決める上で重視したこと

まず企業の知的財産部門であることが第一条件でしたが、できれば自動車関係のメーカーに転職したいと考えていました。自動車関係を希望したのは、単に自分が自動車が好きだという理由です。
また、企業の特許出願件数が多いことを重視していました。出願件数が多いほど知財の予算を持っているはずですし、会社上層部の知財への理解があり幅広い業務にチャレンジできるのではないかと考えたからです。

使った転職サービス

マイナビ転職やリクナビネクストなどの転職サイトに登録し、求人を探して応募しました。
DODAの転職エージェントにも登録し、電話によるカウンセリングを受けましたが、私の場合はリクナビネクストから自分で応募した企業から内定をいただき、就職を決めてしまいました。

転職エージェントを通して求人に応募する前に採用が決まってしまったため、転職エージェントとは電話で一度やりとりしただけで終わってしまいました。
リクナビNEXT

今の職場で働いてみて

前職よりも業務の幅は広がり、仕事自体は楽しいことが多いです。前職の特許事務所はPCに向かってクライアントの要求を満たす文章をひたすら起こしていくという職人的な業務でしたが、現職の企業の知的財産部門は開発設計部門や営業部門と協働して動くことが多く、いろいろな調整役になることが多いです。
私の場合は、まわりの人を巻き込みながら業務を進めるのが得意なほうなので、現職のほうが自分にはあっていると感じています。

事務所のメリット・企業のメリット

事務所のメリット

自分が処理した案件数が評価のほぼすべてですので、事務所の売り上げにどれだけ貢献したかが分かりやすい。したがって、数をこなせるようになると収入が増えますし、また、弁理士資格があって実力も備わっていると将来独立が可能かもしれません。
福利厚生の内容や退職金の有無などは事務所によって異なるかと思いますが、実力がある方だと収入面では事務所勤務のほうが稼げるのではないでしょうか。

企業のメリット

事務所にはない仕事ができる点だと思います。他の部署と連携して業務を進めてうまくいったときの達成感は事務所では味わえないと思います。

特許事務所からの転職を希望する方へ

業界内では企業から事務所への転職は容易だがその逆は難しいとよく言われていますし、実際に私のまわりでも事務所から企業に転職できたケースは少ないように思います。

事務所と企業の両方に在籍した者として、事務所から企業へ私のまわりでも多かったですが、転職できるケースは少ないと感じています。その理由は、事務所にいると業務の幅が狭く、売り上げや処理件数ばかりが自分の評価になっているため、自身のスキルの棚卸ができていない人が多いことだと思います。

特許事務所で働いている人が転職活動を始めると、自分がこなした件数や得意とする技術分野をアピールしがちになります。

しかしながら、企業にアピールするべき点はそこではないと思います。募集要件を満たしているだけでなく、その企業の社是・社風を理解し、そこに自分がマッチしていて貢献できる点を主張することを意識する必要があると思います。

営業(仕事の獲得方法など)の工夫をしている点や、クライアントとの信頼関係をどうやって築いているかなど、企業で活かせるスキル・能力をどれだけ持っているのかを棚卸し、企業の社風・社是に沿っていて貢献できるようなアピールするのがよいと思います。

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