収入ではなく心の安定を求めて工場ラインから飲食店へ




前職は工場生産ライン

工場ラインの仕事内容

一種類のお菓子の製造ラインをしていました。焼成、加工、包装、箱詰めなど、一般的などこにでもある職業です。
一定の人気と生産量はあるので、繁忙期などは業務が早朝から深夜までかかったりすることも多々ありました。

前職を辞めた理由

結論から言えば、心を病んでしまい働くのが困難になってしまったからです。単純作業の多い工場だとよくあると思いますが、女性の割合が過半数を占めています。そのため派閥のようなものができてしまい、その対立がひどく、精神的に追い詰められてしまいました。
決して明らかないじめなどがあったわけではありませんが、陰口の耐えない職場でした。また、日本は多くの会社が同じ傾向にあると思いますが、体調不良で休む、有給届けを出すなど、会社に無益なことをすると冷たい態度をとられます。

有給届けを提出すると、破れるのでは、という勢いでひったくられたこともありました。
体調不良で休むのは甘えだと言われたこともありました。それは私だけではなく、他の社員やパートの人もそうでした。

私と同じく心を病み、業務中に倒れた人もいました。生活のために働いているのか、働くために生きているのかわからなくなったのです。そのとき私は社員で、月収も安定していたしボーナスもあったので、収入的には恵まれていたのだと思います。

それでも、なんのために生きているのか?という疑問は日に日に増していったのです。
更に同職場の方からストーカーのような行為を受け、ますます職場へは行けなくなりました。
そのようなことがあったので、辞職を決意しました。
派閥の対立などは辛かったけど、好きな先輩方もたくさんいたので悲しく寂しかったのを覚えています。

現職は飲食店(皿洗い、ホール等)

現職を決める上で重視したこと

工場に就職したときもそうでしたが、なるべく表に出ない仕事を、というのが最大の希望でした。
心の病は病院からはうつ病と診断されたので、なるだけ心に負担のかからない仕事をと思いました。
正直お給料は二の次にしていたように今となっては思います。
ハローワークの職員の方にも、表には出ない、あまり人と関わりの少ない仕事を、と頼んでいました。使った転職サービスは主にハローワークです。

今の職場で働いてみて

一言で言うなら幸せです。もちろん仕事なのでそれなりに大変だし、飲食店なので土日や祝日、忘年会シーズンなどといった繁忙期は目の回るような忙しさです。それでも前の職場のように心を病むことはなくなりました。上司も先輩も、みんな家族のように接してくれるのです。

決して甘やかしているというわけではなく、思いやりと愛情を持って接してくれます。軽度ではありますが対人恐怖症も患っていたので、面接のときに「表には出られない」と告げると、こころよく承諾してくれました。一年ほど仕事をせず休養していたので、リハビリのつもりで始めた今の仕事ですが、毎日少しずつできることが増えていき、新しい仕事を覚えるたびに先輩方は褒めてくれて、それが心の励みになりました。

仕事を覚えるのが楽しかったというのもありました。最初は皿洗いだけをこなしていましたが、簡単な盛り付けや雑用も教えてもらえるようになり、この職場の役に立てているのだという充実感もありました。今ではホールの仕事もやっています。知らない人の前に出てなにか聞いたり話したりするなんて、昔の自分ではとても考えられませんでした。接客業は、昔の私ならいの一番に避けていた職業だからです。

人員不足のため最初は嫌々引き受けていたのですが、少しずつやり方を学び、人にも慣れ、今では楽しいとさえ感じられるようになりました。今の職場に来て、私の人生は変わったと言っても過言ではありません。明るく色が付き、視界が広く遠くまで開けたような感じがしました。「自分はこうだからこれはできない」「自分の能力ではこれが限界」と決め付けていたのが今では情けなく、もったいなく思っています。

今毎日笑って仕事ができているのは今の職場のみんなのおかげだと思っているし、心から感謝しています。次の仕事も決めないまま辞めたときは、「もうどうなってもいい」と投げやりな考えで毎日空を眺めていました。

ハローワークで今の職場を提案されたときも、会社の規模が小さく人数も少ないからここでいいです、という感じでした。前の職場の方とは今もたまに会います。数年ぶりに会ったりする人からは、「昔とずいぶん変わったね」「明るくなったね」とよく言われます。確かに昔に比べて自分と向き合う時間が増え、心に余裕を持てるようになったのです。それも今の職場の先輩の助言があったからでした。昔の私なら考えられないようなことを、今の職場に就いてからたくさんするようになりました。

相談に乗ってくれる先輩や知り合いもたくさん増えて、行動範囲も広がりましたし、なにより活動的で社交的になりました。大げさかもしれませんが、今の職場になって生まれ変わったと思いました。この職場にいれて、本当に幸せだと思っています。

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